リファラル採用で不採用を伝えるには?紹介者と気まずくならない伝え方・文面例・企業事例

目次(タップで開閉)
- 1リファラルでも、不採用は当たり前に起きる
- 2気まずさは「伝え方」より手前で決まる
- あくまで「選考」であることを最初に共有する
- 紹介の時点で「期待値」を揃えておく
- 3まず決めておきたい「線引き」
- 状況で変える判断(電話か、文面か)
- 4不採用を伝える手順(誰が・いつ・何を)
- 5紹介した社員への伝え方
- 6不採用の理由は、どこまで伝えるか
- 7候補者(友人)への伝え方
- 8私なら、不採用が決まったらこう動きます
- 9伝えたあとのフォローで「紹介が止まる」を防ぐ
- 10気まずさをケアする企業の工夫3つ
- SmartHR(日)— 「ごめんねごはん」で紹介者をねぎらう
- Stripe(米)— 紹介した社員を選考の振り返りに関わらせる
- freee(日)— 紹介という行動そのものを社内で称える
- 11まとめ
- 12出典・参考
リファラル採用でとりわけ神経を使うのが、紹介してくれた社員の友人を不採用にする場面ではないでしょうか。落ちるのは「応募者」であると同時に、社員の「友人」でもあります。伝え方を誤ると、候補者との関係だけでなく、紹介してくれた社員との関係まで気まずくなります。
エン・ジャパンの調査でも、リファラル採用の懸念の1位は「不採用による、紹介した社員と応募者の関係悪化」で53%でした。半数以上の企業が、まさにこの場面を心配しています。
ですが、この気まずさは避けられます。ポイントは、伝え方そのものよりも手前にあります。「これはあくまで選考であり、不採用もある」と紹介の時点で握っておくこと、そして伝えるときの順番と文面の型を決めておくことです。この記事では、社内で決めておく線引きから、紹介者への電話・候補者への不採用メールの文面、伝えたあとのフォロー、海外を含む企業の工夫まで、そのまま使える形で解説します。
リファラルでも、不採用は当たり前に起きる
前提として、リファラル採用でも不採用は普通に起こります。ここを曖昧にしていると、「紹介したのに落ちた」というショックが大きくなります。
社員から紹介された、イコール採用、ではありません。紹介は、会社と候補者が出会うきっかけであって、採否はあくまで選考で判断します。「紹介すれば受かる」という前提を置かないこと、そして不採用になったときの対応を、制度を始める段階から決めておくことが出発点です。
気まずさは「伝え方」より手前で決まる
不採用の伝え方を工夫するのは大切ですが、それだけでは足りません。気まずさの多くは、実は**紹介が起きる前の"握り方"**で防げると、私は考えています。
あくまで「選考」であることを最初に共有する
「紹介されたのだから、ほぼ受かるだろう」。候補者も紹介者も、無意識にこう期待しがちです。この期待と現実のギャップが、不採用時の気まずさを生みます。
だからこそ、選考に入る前に「これはあくまで選考であり、通常の応募者と同じ基準で公平に判断する。不採用になることもある」と、はっきり伝えておきます。候補者を「お客様」として過剰にもてなすのでも、逆に「内定確約」のように扱うのでもなく、「仲間候補」として、対等かつ誠実に接するのが基本の姿勢です。
- 候補者は「お客様」ではなく「仲間候補」として接する
- 紹介してくれた社員への配慮を忘れない
- 不採用の可能性も、最初から誠実に伝える
- 紹介経由でも「あくまで選考」であることを握っておく
紹介の時点で「期待値」を揃えておく
不採用で揉めないために効くのは、紹介を依頼する時点で期待値を揃えておくことです。私は、ここを最優先にしています。社員に紹介をお願いするとき、次の4点を伝えておきます。
- 紹介は「会って話すきっかけ」であって、採用の約束ではないこと
- 選考は通常の応募者と同じ基準で、公平に行うこと
- その結果、不採用になることもあること
- 不採用でも、紹介してくれた社員の評価には一切関係しないこと
たとえば「もし合わなくても、それは〇〇さんのせいでは全くないので、気軽に紹介してほしい」と一言添えておくだけで、いざ不採用になったときの受け止め方がまったく変わります。
この線引きは、規程にも一文入れておくと確実です。たとえば選考の条項に、「候補者の選考は、通常の応募者と同一の基準により、公正に行う。紹介は選考の結果を保証するものではなく、不採用の場合においても、紹介者はいかなる不利益も受けない」といった一文を入れておきます。これがあれば、口頭での共有だけに頼らず、制度として期待値をそろえられます。条文の全体像やそのほかの項目は規程の作り方と雛形の記事に、人間関係のリスク全般は「やばい」と言われる理由の記事にまとめています。
まず決めておきたい「線引き」
いざ不採用が出たときに慌てないよう、連絡のルールを先に決めておきます。以下は、私なら社内の目安として決めておく線引きです。
確認ポイント | 私の運用の目安 |
|---|---|
連絡の順番 | 候補者への正式通知の直前に、紹介者へ一報 → 会社から候補者へ |
連絡の手段 | 紹介者:電話・対面・Slackなど普段の手段でよい / 候補者:原則メール+必要なら電話 |
伝える範囲 | 候補者本人に伝えない評価は、紹介者にも伝えない |
期限 | 不採用が決まったら、24時間以内を目安に連絡する |
順番と期限をこうしているのには理由があります。時間が空くほど、紹介者が候補者本人から先に「落ちた」と聞いてしまう可能性が高くなるからです。会社より先に友人から結果を知ると、紹介者は立場をなくします。だから私は、候補者への正式通知の"直前"に紹介者へ一報を入れ、決定から24時間以内を目安にしています。
連絡の手段は、電話に固定する必要はありません。普段Slackでやり取りしている会社なら、Slackで問題ありません。大事なのは媒体ではなく、次の3点です。
- 候補者が結果を知る前に、会社から紹介者へ返すこと
- 紹介への感謝を伝えること
- 候補者本人への正式な連絡は、会社が行うこと
状況で変える判断(電話か、文面か)
一律に決めきれない部分は、状況で切り替えます。
- 私なら、不採用の理由を強く聞かれそうなときは、紹介者への一次連絡を電話や対面にします。文章だけだと「冷たい」「軽く扱われた」と誤読されやすいからです
- 書類段階など接点が浅く、紹介者の関与も軽いときは、短いSlackやメールで、温度を上げずに手短に終えます
不採用を伝える手順(誰が・いつ・何を)
線引きが決まったら、実際の伝え方です。順番と担当を間違えると、気まずさが一気に増します。
- 候補者に先に通知し、紹介者は後回し
- 候補者への連絡を紹介者に丸投げする
- 理由も添えず、事務的に不採用だけ伝える
- 返事が遅く、結果を待たせる
- 紹介者へ先に一報 → 会社から候補者へ直接
- お礼と差し支えない範囲の理由を添える
- 「評価には関係しない」と言葉にする
- 決まったら、できるだけ早く伝える
避けたいのは2つです。候補者が先に結果を知って、紹介者が後から知るという順番と、候補者への連絡を紹介者に丸投げすること。前者は紹介者の立場をなくし、後者は友人関係のまま不採用を告げさせることになります。私なら、候補者への正式通知の直前に紹介者へ一報を入れ、候補者へは会社から直接伝えます。
紹介者への一報は、簡潔でかまいません。伝えるのは「今回は見送りになったこと」「本日、会社から候補者へ連絡すること」「紹介への感謝」の3点です。候補者本人にまだ伝えていない詳しい評価や面接の中身を、紹介者へ先に共有するのは避けます(次章)。
紹介した社員への伝え方
紹介者へは、感謝・差し支えない範囲の理由・評価には無関係という再確認の3点をセットで伝えます。
理由は、あくまで「募集ポジションで求める要件との兼ね合い」に寄せます。候補者の能力を否定する言い方や、候補者本人に伝えていない内容を紹介者にだけ話すのは避けます。たとえば「スキルが足りなかった」と言い切るより、「今回の募集が求める経験とは、少し方向が違った」と伝えるほうが、紹介者も友人にフォローしやすくなります。あわせて「今後もぜひ紹介をお願いしたい」と伝えると、一度の不採用で紹介が止まるのを防げます。
不採用の理由は、どこまで伝えるか
不採用の連絡で迷うのが、理由をどこまで伝えるかです。考え方は2つあります。
1つ目は、理由を「募集ポジションで求める要件との兼ね合い」に寄せること。「人柄が合わない」「スキルが低い」といった、人を否定するような表現は避けます。今回の募集が求める経験や条件との相性の話にとどめると、候補者も紹介者も受け止めやすくなります。
2つ目は、この記事でとくに実務で効く原則です。候補者本人に伝えない評価は、紹介者にも伝えない。 紹介者は社員なので、つい踏み込んだ評価を共有したくなりますが、そこで話した内容は、まわりまわって候補者本人に伝わることがあります。候補者へ伝える範囲と、紹介者へ伝える範囲は、同じラインでそろえます。
紹介者にどこまで共有してよいかは、次の目安で判断できます。
内容 | 紹介者への共有 | 例 |
|---|---|---|
選考結果 | ○ | 「今回は見送りになりました」 |
候補者への連絡予定 | ○ | 「本日こちらから連絡します」 |
ポジションとのミスマッチ | △ | 本人への説明範囲に合わせる |
面接官の個別評価 | × | 「コミュニケーション能力が低い」など |
他候補者との比較 | × | 「他の候補者のほうが優秀だった」など |
センシティブな評価 | × | 原則、共有しない |
候補者から詳しい理由を強く求められても、個別の評価には立ち入らないのが原則です。「総合的に判断した」で突き放すのでもなく、「求める経験と方向が違った」という程度の説明を、誠実な態度で伝えます。
候補者(友人)への伝え方
候補者へは、通常の応募者と同じく、誠実に、なるべく早く伝えます。理由は具体的すぎない範囲にとどめ、敬意を持って伝えます。紹介経由だからと特別扱いをしたり、逆に連絡を後回しにしたりしないことが、結果的に紹介者との関係も守ります。
また、今回は縁がなくても、別のポジションなら活きる候補者もいます。その可能性があるなら、「今後、別の募集でご縁があれば、改めてご連絡させてください」と一言添えておくと、候補者にも紹介者にも、前向きな余韻が残ります。
私なら、不採用が決まったらこう動きます
- 採用担当 → 紹介者(候補者への正式通知の直前に):「見送りになったこと」「本日、会社から候補者へ連絡すること」「紹介への感謝」を、電話かSlackで短く伝えます
- 会社 → 候補者:会社から正式な不採用の連絡を送ります(下のメールテンプレート)
- 後日、改めて紹介者へ:必要に応じて、もう一度感謝を伝えます
そのまま使える文面を用意しました。紹介者への一報は、電話でもSlackでも、そのまま送れる形にしています。
〇〇さん、△△さんのご紹介ありがとうございました。今回は見送りという判断になりました。本日中に、こちらから△△さんへ結果をご連絡します。せっかくつないでもらった中で結果にはつながりませんでしたが、ご紹介いただいたこと自体、本当に助かりました。また合いそうな方がいれば、ぜひお願いします。
△△様 このたびは〇〇さんからのご紹介をきっかけに、弊社の選考にお時間をいただき、誠にありがとうございました。慎重に検討いたしましたが、今回は募集ポジションで求める要件との兼ね合いから、採用を見送らせていただくこととなりました。個別の評価内容についてはお伝えできない点、何卒ご容赦ください。 △△様のご経験は大変魅力的で、迷いのある結論でした。今後、別のご縁がありましたら、改めてご連絡できれば幸いです。△△様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
〇〇(紹介者)・△△(候補者)は自社の状況に合わせて調整してください。あくまで一例です。
伝えたあとのフォローで「紹介が止まる」を防ぐ
不採用を伝えて終わり、にしないことも大切です。海外のリファラル運用でも、紹介者への結果共有やフィードバックの不足は、社員紹介制度を機能させなくする要因として指摘されています。
不採用のあとは、後日あらためて「先日は本当にありがとう」と一言かけます。可能なら、朝会や全社チャットで、結果に関わらず紹介という行動そのものを称える場をつくります。私は、こうした小さなフォローが、その後も紹介を続けてもらえるかどうかに効いてくると考えています。運用として紹介を止めない工夫は、続かない4つの壁の記事でも扱っています。
気まずさをケアする企業の工夫3つ
不採用の気まずさに、仕組みで向き合っている企業もあります。国内外の例を挙げます。
SmartHR(日)— 「ごめんねごはん」で紹介者をねぎらう
SmartHRには、紹介した知人が不採用になったときに、関係を壊さないよう会社負担で会食を設ける「ごめんねごはん」制度があります。不採用のときに生じる、紹介してくれた社員の心理的な負担を、個人の気づかいに任せず、制度としてケアする発想です。
Stripe(米)— 紹介した社員を選考の振り返りに関わらせる
米決済大手のStripeでは、紹介した社員が選考の振り返り(interview debrief)に関わる形をとり、選考のプロセスを紹介者から見えやすくしています。紹介者を蚊帳の外に置かない工夫の一例です。
freee(日)— 紹介という行動そのものを社内で称える
freeeでは、紹介に貢献した社員を、周年イベントなど社内の場で称える取り組みが紹介されています。紹介という行動そのものに光を当てる文化は、結果だけで評価しない空気づくりにつながります。
3社に共通するのは、紹介してくれた社員への配慮を、個人の心がけではなく仕組みにしている点です。
まとめ
リファラル採用の不採用の伝え方を見てきました。要点を整理します。
- 気まずさは「伝え方」より手前で防げる部分が大きい。あくまで選考であること、不採用もあることを紹介の時点で握っておく
- 連絡は、候補者への正式通知の直前に紹介者へ一報 → 候補者へは会社から直接。手段は電話でもSlackでもよい
- 紹介者へは「感謝+差し支えない範囲の結果+評価に無関係」を伝える。候補者本人に言わない評価は、紹介者にも言わない
- 伝えたあとの感謝まで含めて、ひとつの運用として決めておく
不採用そのものは避けられません。避けるべきなのは、「紹介したら気まずくなったから、もう紹介したくない」と社員に思わせることです。紹介前の期待値調整、会社からの迅速な連絡、紹介後の感謝までを一つの運用として決めておけば、それは避けられます。あわせて、「やばい」と言われる理由や、規程の作り方と雛形も参考にしてください。
出典・参考
- エン・ジャパン「人事のミカタ」第127回 リファラル(社員紹介)採用について(2017・501社) …懸念の調査(関係悪化53%)
- アカリク …SmartHRの「ごめんねごはん」制度
- Greenhouse …Stripeの紹介文化(紹介者のフィードバック関与)
- Wantedly …freeeほかリファラル採用の成功事例
- ERE …Employee Referral Program Best Practices(紹介者へのフィードバックの重要性)

